ディスプレイ什器を制作する際、気をつけなければならないこと平もののSPツールと異なり、山ほどあります。今回は、意外と表には見えにくいが、実は相当重要な「設計」についてお話しします。
 デザイン、形状が決まれば後は作るだけ、と思っている方は多いと思いますが、強度や組立てやすさ、量産しやすさを考慮しながらデザイン通りの設計を行うことは、実は至難の業です。
 強度を重視すればパーツ、加工が増えてコストが上がってしまい、デザインを重視しても組立が複雑になってしまいます。かといってコスト、組立を重視するとデザイン通りの形にならず、ただの「箱」になってしまう。
 また、SPツールの中でかなり大きな印刷を扱うため、「どういった展開図にするか」は印刷コストに直結します。意外と知られてませんが、什器で使用する一般的な紙の大きさは最大で1100mm×800mm(L全判)であり、それ以上の大きさは一度に印刷できません。そのため、多くのフロア什器は、上下2パーツに分かれます。
また、コピー機の要領で、「印刷は1枚いくら」と思っている方が多いですが、オフセット印刷はまず印刷機を1台動かすのに数十万円の固定費がかかります。極端な話ですが、1枚刷るのも、500枚刷るのも、固定費はほとんど変わらないため、枚数が少ないほど単価が高くなります。 
回りくどくなりましたが、大きな什器を印刷する際には、「1100×800mmの最大サイズの中にどれだけうまく詰め込めるか」で大幅にコストが変わります。
 例えば、設計がなんとかうまくまとまり、L全にすべてのパーツが入った場合と、どうしても少しだけはみ出してしまい、1100×1000mmになってしまった場合では、最大で2倍近くのコストの差が生じます。「たかが20cm」でも、1100×800mmを少しでもはみ出すと、印刷が二回に分かれるため、固定費はリセットされて2回分必要になるからです。

 このように、コストダウンにとても重要な展開サイズを決定するのは、すべて設計次第です。しかし、デザインと同じく、設計に正解などありません。同じデザインを設計するとしても、設計者が10人いれば展開図面は10通りできます。誰が設計しても同じ図面になることは、ほぼ皆無に等しい。
図面を簡易化すること、展開図を小さくすることはコスト決定の重要な事柄ですが、とは言えそればかりに注視してしまうと、デザインとイメージが違ったり、強度が足りなくなったりしてしまいます。

 重要なのは、「デザイナーは図面、組立を考慮し、設計はクリエイティブを考慮する」ということです。少し考えれば当たり前のことなのですが、意外とこれが分かっている制作会社は少ないです。しかし、お互いに自分の役割のみを考え、歩み寄らなければ本当にいいものはできません。ディスプレイファクトリーのスタッフは、お互いの役割を考慮した上で、最適な制作を行えるよう配慮しています。
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