忙しく制作に追われてしまうと、ふと「何を作っているんだろう?」と迷ってしまう事がまれにあります。小売の店員さんから、「邪魔だったからテスターだけ取り出して捨てた」「バックヤードに入れっぱなしでそのまま廃棄された」なんてお話を聞くとなおさらです。私たちはゴミを作っているんだろうか?見方によってはそうかもしれません。
 では、ディスプレイなどなくてもいいのかというと、やはり必要だから存在するのです。メーカーさんとお話ししていると、「卸からは販促物を強く求められる」「イメージでも店頭展開がないと、商談ができない」というお声を多く聞きます。特にニーズが強いのは、ドラッグストア、GMS、バラエティショップなどのセルフ売場です。極端な話、商品の前にセールスマンがいれば、POPやディスプレイなど必要ありません。実演販売などがそれに当たります。しかし現実は、膨大な販路に対して売り子を派遣する事はコスト的に厳しく、商品を置くだけで生活者に選んでもらわなければなりません。
しかも、一般販路の棚にはいろいろなメーカーの商品が所狭しと並べられています。さしずめ、棚自体がお祭りの屋台、ショッピングモール状態です。そんな棚において、隣のお店よりも良いものを売っているように見せなければ、商品を手に取ってもらうことすらかないません。

 売場の棚=ショッピングモールと考えると、私たちが作っているものは、「最も小さな無人店舗 」と言えます。購買を最終的に決定するのは値段やプロダクト、性能かもしれませんが、まず通りがかる生活者に対して、ブランド感や世界観をファサードで表現しながら、「ここにこんな商品ありますよ、どうぞどうぞお寄りください、お代は見てのお帰り」と無言で訴えている極小の店舗。

 そんなものを、私たちは作っています。