「んで、結局いくらなの?」
よくお客様から言われるフレーズです。紙製ディスプレイ什器は、他の印刷物よりも工程が多く、金額構成がとても複雑です。なるべく早く、正確な金額をお伝えしたいのですが、形が決まらなかったり、納品方法が決まらなかったりするとなかなか決め打ちできません。
では、具体的にどんな項目があるのか。今回は、意外と軽視されがちな「ソフト費」についてご説明します。

■デザイン費
まずはデザインにかかる費用です。ディスプレイのデザインは、ポスターのように平面だけではなく、形状も含めて立体的に考えなければならないため、高度なデザインスキルが必要です。二次元ではなく三次元でデザインをとらえ、どこから見ても成立するデザイン力が求められますので、どちらかというとプロダクトデザインに近いと思います。しかし、マス広告のデザイン費と比べるとかなり割安な金額設定がなされているのが実情です。一般的には、10万円〜50万円程度が相場のようです。

■設計費
 化粧品ディスプレイを制作する際、意外と知られていませんが、最も重要と言っても過言ではないのがこの設計です。まず、私が知る限り、化粧品ディスプレイのデザインと設計を、完全にひとりでこなせるスキルのある方はいません。弊社のように構造に詳しいデザイナーもいますが、フィニッシュの図面作成まではデザイナーひとりではできません。ですから、デザイナーのイメージをいかに具現化させるか、というところが設計の最初のポイントですが、デザインのイメージをそのまま立体にできる設計士は、意外と多くいない。「デザインそのままの形になってる」というだけで、当たり前のようですが、実はすごいことなのです。
また、量産する際、印刷の機械を何台使用するかでコストが大きく変わりますが、印刷台数を決定するのは、すべて設計次第です。同じ形のディスプレイを設計しても、図面は10人10色です。印刷台数の効率化を考慮しながら設計できるスキルも、非常に重要です。
最後に、「組立」です。ディスプレイの多くは組立てて納品するタイプですので、組立の工程は欠かせません。組立てるのは人です。機械ではありません。組立が難しければ難しいほど、人員と時間が必要になり、組立代が膨大な金額になってしまうことが少なくありません。
「途中で構造が変わり、納期の問題もあり最後の最後で組立代が跳ね上がって予算を超えてしまった!」よくあるトラブルです。この組立の難易度を決めるのも、設計です。前述の通り、設計士によって難易度が左右されます。「組立てやすさ」まで考えて図面を起こせるのが、本当に良い設計です。ただし、あまり簡易にしすぎると、「商品を乗せたら壊れた」などという大事故につながってしまうため、簡易性と強度をバランスよく考慮する必要があります。
このように、設計とひとくちに言っても、「デザイン再現度」「印刷台数」「組立てやすさ」「強度」の4要素を満たさなければならず、非常に高度なスキルが求められます。個人的にはデザインと同じか、ものによってはそれ以上の報酬が必要だと思います。
しかし、「設計費」という項目がまだまだ認知されておらず、対価をそのまま請求できないため、印刷費の中に含めてしまうことを余儀なくされているのが、現状でもあります。
ディスプレイ業界において、デザイナー、設計の認知度、フィーの向上は大きな課題です。